キアゲハの旅立ち
去年、育てていた小さなパセリの鉢植えに、初めてキアゲハが産卵していった。
秋の中ごろだったから、幼虫たちは越冬蛹になり、今年の春に長い冬眠?から目覚めてちょうちょになった。
キアゲハ(というか蝶々全般がそうなのかは分からないけれど)は羽化した場所を覚えていて、産卵する時に戻ってくるという話を聞いて、何株も増やしたパセリに水あげしながら、来るかなぁ?と待っていた。
そして時間が過ぎ、9月の初め、パセリが忽然とむしられたように無くなっているのに気づき、食べつくしてお腹をすかした幼虫たちが枝のさきっぽに止まってピンと背筋を伸ばしている姿を見つけて、びっくりした。
終齢まで育てあげられたのは全部で15頭。
パセリが無くなってしまったので、食料はセリ。近所の水路にセリがわさわさと生えているのを、春に散歩をしながら見つけていた私は、自転車に乗ってセリを取りにいった。でも取るのが大変だったので、キアゲハの食用に野ゼリを売ってくれているおじいさんから購入して育てました。
無事に蛹になった個体たちは、毎日のように羽化して外へ飛び立っている。
手乗りになるっていう話しを聞いて、おそるおそる指を差し出すと、本当に乗ってくれて、嬉しい出来事もあった。
そのまま窓から外へ出してあげると、ぱっと飛んでいく。その感触と、旅立ちに、新しい風が心の中にはいってくるような、すっとした綺麗なものをもらう。
それはなんなんだろう。新しい命の輝き?
分からないけれど、生きることの新しい扉が開くのを、垣間見ている気がする。
もしかしたら、子育てや、いろんな命に関わることは、こういう経験が伴うのかもしれない・・・なぁ。
私は「育てる」ことにこんなに真剣に向き合ったことが無かったから、こんな、気持ちを経験するのも初めてでした。機会があったら、どんな風に育てたかも、書いてみようと思います。